交差点にあるBank of Americaのアマースト支店前では、ほぼ毎日誰かしら立って、何かしらのキャンペーン、デモンストレーションなどを行なっている。この「Women in Black」は戦争に反対するおばさま方。何となく全共闘世代っぽい。
3月28日、いよいよ初出勤。
インターンとはいえ一応働くことになっているので、「大丈夫だろうか」とどきどきしつつ事務所に向かう。
事務所は、MRCの持ち物。以前は家具屋さんだったそうだ。2軒長屋になっているので、玄関も裏口も2ヶ所あり、1階の2部屋を別のNPOが借りている。貸している部屋を除くと、1階にミーティングルームが2ヶ所と、ケア関係のプログラムスタッフの部屋があり、2階には小さめのミーティングルームと事務局が使う部屋、それから事務局長室がある。
この日は初日なので、会う人会う人に紹介される。一応、ウェブサイトにのっていた名前の人はチェックしていたのだが、次々に言われると覚えきれないものである。用意してあった、自分の名前を書いた和紙の名刺と、日本のHIV/AIDSキャンペーンのバッジを配りながら挨拶し終わると、インターンの席はここ、とデスクとパソコンを示された。Paulaの席のちょうど後ろである。
今日、まずやるべきことは、Social Security Numberをとることと、銀行口座を開くことだ。CGPから配られたアメリカ生活のガイドには「アメリカで口座を開くにはSSNが必要」と書いてある。そこでまず、
Social Security Officeのウェブサイトで、取得に必要な書類を調べ、近くの事務所を探すと、車で40〜50分くらいのHolyokeの窓口が最寄りらしい。さらに「SSNは申請して約2〜3週間で届きます」。
冗談じゃない、そんなに長くかかるんじゃ、最初の銀行振込に間に合わないじゃないか、本当にSSNが必要なのか、と思い、今度は
Bank of Americaのサイトで、必要な書類を調べてみる。
Men's Resource Centerは、オルタナティブな価値観な人々の集団なので、スタッフはみんな地元銀行に口座を持っている。しかし日本からの送金に一番便利なのはBank of America。アマーストの中心の交差点に支店があるほか、もう少し小さな支店が事務所からU-Massに向かう場所にあり、郵便局の近くにもある。
他の銀行の選択肢はなさそうなので、とりあえずBank of Americaの口座開設の方法を読んでみると、「免許証などの写真付きのIDが必要」とは書いてあるが、「SSNが絶対に必要」だとはどこにも書いてない。免許を取る時にSSNが必要だから、免許を持っているという時点でSSNは取得済みという解釈なのかもしれないと思ったが、新参者が、すぐにカードを作らなければならないのに3週間も書類待ちというのはどう考えてもおかしいと、とりあえず持っているIDを全部持って、口座が開設できるかどうか試してみることにした。
そして、無事、SSNなしで口座を開くことができた。
ここからは、今後のフェローの参考になるよう、SSNなしでアメリカでどのように銀行口座を開いたか説明する。
持っていったのは、パスポート、国際運転免許証、DS2019の書類、CGPからのお手紙(この人は正式なCGPフェローとして派遣され、アメリカで働くことになっています、というようなことが書かれた手紙)だが、DS2019は使わなかった。
まず、「私は先週アメリカに着いたばかりで、日本からの奨学金の送金のためにBank of Americaに口座を開きたいのだが、まだSSNを持っていない。SSNなしでも、口座を開設することができるか」、と訊ねた。
すると「留学生なのか?先生なのか?」と聞かれたので、「どちらでもない。この奨学金はこちらのNPOで働くことでNPOを学ぶ目的のもので、私はここのMen's Resource Centerで働くことになっている。」と答えてCGPからのお手紙を見せたところ、手紙には対して関心を示さず、「ああ、その先のMen's Resource Centerね。」とあっさり(さすが小さい町)了解してくれて、「それなら、パスポート以外の写真付きのIDがあれば良いですよ」と言われたので国際免許証を出した。
これが免許証?という感じで不審そうだったのだが、とりあえずパスポート番号とライセンス番号を控えられ、手続きを進めてくれた。この後は、最初にいくら預けるか、当座預金(checking)のみにするか普通預金(Saving)も作るのか、暗証番号とかカードはどうするかとか小切手帳は何冊いるかというような、通常の銀行の窓口でのやりとりになり、だいたい小一時間で手続き終了。当座使う5枚くらいの小切手シートをもらい、カードと小切手帳は1週間くらいで届きます、と言われて、最後に「Bank of Americaに口座を開くようにお友だちに紹介していただき、お友だちが口座を開くと、30ドルのキャッシュバックがあります。Men's Resource Centerの人はあまり興味を持たないかもしれないけど、話してみることはできますよね。」と言われて、キャッシュバックキャンペーンのパンフレットをくれた。
ちなみに日本の銀行にあるような「粗品」はくれなかった。
小切手帳は2日後に届き、カードも1週間以内に郵送されてきた。
ここまでのところを振り返って、SSNなしで口座開設をするのが全米的に可能なのか、それともたまたまアマースト支店だったから見逃してくれた(学生が多く人の出入りが激しい町)のか検討してみる。
まず確実なのは、「必ずしもSSNは必要ない(例外OK)」ということである。
ウェブサイトをよく読んだのだが、「アメリカ市民の場合はSSNが必要です」と書いてあり、「アメリカ市民でない人は、パスポートとSSN、または免許証が必要です。」と書いてある。(2007年3月26日時点)ここを読んで私は、「なら、国際免許証はいけるんじゃん?」と考えたのだが、この時点では私は「国際免許証(license)」は免許証ではなく「国際運転許可証(permit)」だということを知らなかったので、窓口で出したのはPermitだけだった。このPermitを、不審がりながらも「まあいいや」と受理して手続きを進めてくれたのは、田舎の銀行だったからだと思う。本当は、日本の運転免許証を出して、「これが私の日本の運転免許証です。そしてこちらが、この運転免許証を使って条約締結国内で車を運転しても良いという許可証です。」と説明しなければならなかったのだ。そしてそのPermitをよく読むと、「このPermitの有効期間は1年間です」と書いてある。
しっかりした行員なら「この許可証は1年間しか有効期限がないから使えません。」と言うかもしれない。(ちなみにライセンス番号は、国際番号に国内番号がセットになった、書類の欄に書ききれないほど長い数字の羅列なので、この点でも不審に思う人はいると思う。)実際今回も、「この許可証は有効期限が切れているんじゃない(カバーのところに発行日が印刷されているのだが、それが有効期限だと思われた。)?」と確認された。国際運転許可証は6カ国語で書かれた冊子になっている上に、文面の大半は条約の説明で、運転できる車の種類とか条件なんかは最後の部分にスタンプで押してあるだけという、身分証明書として見るとはなはだ怪しい(今どき紙だし)書類なので、「この書類じゃちょっとわからないから、何か他のものを持ってきて。」と言われる可能性は多いにあると思う。
私がうまく行ったのは、VISAがJ1で、かつ期間が6ヶ月だったので、「6ヶ月くらいならいいかな」と思ってもらえたことと、大学がやたら多くて留学生や海外からの研究者も多く、数ヶ月から1年というような短い滞在者がいっぱいいるため、こういうケースに行員が慣れていたからではないかと思う。また、下宿滞在で最初から住所と電話番号がはっきりしていたことも大きい。1年近い滞在予定の人、ホテルに滞在しながらアパートを見つけたり、電話を引いたり、口座を開いたりしようとする人には、同じ手口は使えないかもしれない。
ただそれでも、事情をちゃんと説明できて、免許証がIDとして有効であることや、外国人には必ずしもSSNは必要とされないはずだ、ウェブサイトでそのように説明されている、と主張できる英語力の持ち主なら、SSNなしでの口座開設にチャレンジしてみてもいいと思う。
一刻も早く環境に慣れたい時に、SNNの手続きに煩わされるのを避けられるからだ。
SSNに関しては、車のこともあり、滞在中に取るつもりなので、取得できたらまた手順を紹介したい。